日本語処理とワープロ

 諸外国では古くからタイプライターが存在し、公式文書のみならず私的文書でもキーボードでの文書作成が普通に使われていたのに対し、日本語は漢字の入力が困難だったため、便利な日本語タイプライタは永年の夢であった。
パソコンの出現により、日本語の漢字入力システムが開発され、はじめてキーボードによる文書作成が本格的に実用化されるようになった。
そのため、日本では日本語ワードプロセッサーがパソコンの最大の用途として使われるようになる。
また、日本語ワープロに特化したディスプレーとプリンタ一体型の「ワープロ」専用機がパソコン以上に普及する一時期があった。
 脱線して、私事を述べると、ワープロ専用機の中には、汎用的なOSの上で動いているものがあった。
某社の文豪ミニ5と言う機種では、あるキーを押しながら電源を入れると8ビットOSであるCP/Mのみが起動し、本格的なコンピュータとして使えた。
私はその上でC言語やPascal言語のソフトを走らせてプログラムを開発し、当時の8ビットパソコンを超える使い易さを体験することができた。
また文豪用の文書ファイルはCP/M上のファイルだったので、文豪の文書ファイルを変換することで、数式の混じった文豪の文書ファイルに直す、TeXまがいのソフトをC言語で自作し、私はそれを使って物理の教材プリントを作成していた。
 また、某他社製のオアシス・ポケットという機種はMS−DOS上で動いて、しかも数100gの軽量で(バックライトなしのモノクロ液晶のため)単3乾電池で数10時間使えたので、パソコン用のテキスト文書入力機として活躍した。その上で、日本語MS−DOSが当時のPC−98より快適に動作していた。
 某他社製のモバイルギアの一部の機種も同じくMS−DOS上で動いているため私は現在も同用途に愛用し、現役で活躍している。(入力を中断して電源を切っても、再度電源を入れるとすぐに続きが打てる点が便利である。このHP用文書も軽量なこれで入力して、CFカードでファイルをパソコンに移している。)
 しかし、これらの機種はROMにMS−DOSを組み込んだ製品だったので、マイクロソフト社にMS−DOSのライセンス契約を打ち切られ、10年以上前に製造できなくなった。
現在では単3電池のみで数10時間動く軽量な補助入力機器は知る人のみぞ知る幻のマシーンとなってしまった。非常に残念である。

 テキスト文書入力のためにわざわざ重いWindowsマシーンを立ち上げて使うのは、イワシを捕るのに捕鯨船を使うような滑稽な話である。

 しかし、不思議なことに現実には、そうせざるを得ないようになっています。
このように、パソコンの世界はユーザーの意向とは異なったメーカ側の誘導で動いている面もある。

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